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No.11 南極大陸最高峰ビンソンマシフ登頂25日間

-Vinson Massif (4897m)-
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Great Crevasse
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コラム

ひょんなことから、n.v.cafeというお店が実施しているリレーコラム(毎月、知り合いづてでつないでいく内容自由なコラム)に参加することになった。その時の原稿である。


学生時代、「一度、フルマラソンを走ってみたい。」と漠然と思っていた。社会人になり、ホノルルマラソンを完走したらマラソンと海外旅行に火がついた。その翌年、スイスへ行ったら山旅行に火がついた。あれから10年...年々、エスカレートしてきた山旅行は遂に南極へ。昨年11月にテレビで南極の皆既日食の瞬間を見たとき、南極の自然の大きさに妙に感動し、2004年1月1日の出発へ向けてボルテージが上がった。目指すは南極大陸最高峰ビンソンマシフ(標高4,897m)!

アメリカのツアー会社の登頂プログラム参加者20数名が、チリの南端プンタアレナスへ続々と集まってきた。ここからチャーター機(イリューシンと呼ばれるロシアの軍用機)で、いざ、南極へ!といきたいところだが、氷の上での着陸になるので、飛行中の天気と安全な着陸場所が約束されない限り出発できない。我々も3日間の足止めの後、南極へと飛び立った。パトリオットヒルズへ着陸の瞬間は拍手喝采。南極大陸へ降り立った瞬間は、寒さを感じさせない皆の笑顔と歓喜。一面の氷の青白さ、雪の白さ、空気の透明感、どれをとっても最上級のものだった。さらに、プロペラ機で1時間ほど行き、登山のスタート地点(ベースキャンプ)だ。いよいよ、山頂目指してスタート!

一般的に、技術的に難しくはなく、夏の南極は白夜であるため時間制限はほとんどないと言われる。しかし、個人装備はもちろん、共同装備(テント、食糧、燃料など)を分担して荷上げしたり、氷河の上をアンザイレン(ロープで繋がって)で歩いたりしなくてはならない。また、天候が悪くなると-50℃とも言われ、自然との戦いでもある。スタートしてから6日目、第三キャンプ地から山頂を目指した。山の女神は我々の登頂を歓迎してくれているかのようにずっと微笑んでいてくれた。快晴無風の静かな白い広大な斜面を、ひたすら前進あるのみ。約10時間かかって、遂に登頂!!雲一つない360°大パノラマ−大小無数の未踏と思われる山々、雲海ならぬ氷海。長時間の行動も-30℃の寒さも苦と感じない空間だった。喜びも束の間、気持ちを入れ直して、来た道を戻らなくてはならない。約4時間で、第三キャンプ地に無事到着し、その夜は疲労と安心感でぐっすりと眠り込む。

順調にパトリオットヒルズまで戻ってきた。残すは最後の関門、南極からチリへの飛行である。しばらく続いた晴天が下り坂に入ったが、登頂を達成した後なので、皆、リラックスしたものである。結局、5日の足止めをくらったが、眠くなったら寝て、お腹がすいたら食事をして...と、時間に追われる毎日に戻る直前の究極の贅沢だったかもしれない。予定より4日遅れの1月25日、無事、日本へ帰ってきた。

環境保護の観点から、研究目的以外での南極への入域ができなくなる可能性があると聞き、今回、登山という形で南極大陸へ行くことができ、想像以上の感動があった。多くの人に同じ感動を味わってもらいたい!と思う反面、この自然を永遠に保存するには人間が近づかない方が良いか?と思ったのも事実である。

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